kousukuの日記

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NHKスペシャル『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』の感想

先日の『聖の青春』の羽生善治を観て、NHKスペシャルの『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』という番組があったのをを想い出し録画映像を改めて観てみました。久々に人工知能について考えたいと思います。

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 NHKスペシャル『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』

アルファ碁の勝利

番組は、今年5月に放送されたもので、囲碁の世界王者に人工知能「アルファ碁」が勝った(4勝1敗)という世間で話題になったニュースをキッカケに羽生善治が人工知能の現状とこれからを探るというものです。

将棋界と人工知能

羽生善治は勝率7割を超え七冠を誇るトップ棋士で、アイドルの畠田理恵さんと結婚して話題になりました。

将棋界では、2010年から将棋電王戦(将棋電王戦 - Wikipedia)という人工知能とプロ棋士が戦う5人の団体戦が行われていて、過去6回の戦いで人間側は1回のみ勝利していて、羽生氏もいつか人工知能と戦う日が来ることは考えているのかもしれません。そういう羽生氏もアルファ碁が世界王者をまだ見たことない手で負かしたことには衝撃を受けたようです。

アルファ碁が実践したディープラーニング

世界王者に対して未知の手をわずか10手目で打ち出したアルファ碁とは何者なんでしょう。

アルファ碁は、デミス・ハサビス氏(デミス・ハサビス - Wikipediaが創設したイギリス DeepMind社という人工知能の研究会社が作ったソフトで、ディープラーニングという人工知能自身が勝手に上達していくという最新の技術を用いて作られたものです。 

番組はディープラーニングを「ブロック崩し」ゲームの例をあげて紹介しており、

「高得点を取る」という条件を組み込みひたすらゲームを行わせ、偶然にボールが当たり得点が入った時から勝手にスキルアップし4時間後には効率の良い手を見つけ出した

というものでした。人の脳の学習機能をそのまま人工機能に組み込んだ感じですね。

碁は「ブロック崩し」とは比較にならないくらいの10の360乗といわれるくらいの手があり、あらゆる先の手を人工知能に読ませていた今までの方法では効率が悪くレベルアップは難しかったそうです。そこで、人が行うように先手を読む範囲を絞込み、絞りこまれたところだけ先を深く読むようにするというふうに変えたそうです。

そしてアルファ碁同士に3000万回の対局をさせ自律学習した成果が世界王者との対局で現れたということです。3000万局というのは人間が1日10局行った場合、8200年かかるそうなので、8200才の囲碁の名人と戦った感じになるのでしょうか?敗れた世界王者は自分の知らない手を披露されて楽しかったと、その充実感を語っています。

ハサビス氏と羽生氏

DeepMindで人工知能を作っている ハサビス氏は、もともとはチェス選手だったらしくかなりの若いころからかなりの実績があったらしく、その思考法を人工知能に組み込んだようです。。番組ではハサビス氏と羽生名人のチェス対決があり1勝1敗で互角でした。そして羽生氏が英語も出来ることに驚いてしまいました。 

既に始まっているディープラーニングの応用

今、ディープラーニングはあらゆる分野で応用され活躍しようとしています。

医療分野では、人工知能に肺がん患者と健康な人のX線画像を大量に比較することで肺がん患者の画像の特徴を見つけ肺がんを特定させる試みが行われています。注目すべき点はそこには医学者が介在していないことです。今までいくつものX線画像から肺がんを特定してきた医者が必要となくなったのです。

交通分野では、衝突をしない運転や渋滞を発生させない研究が進んでいるようです。シンガポールでは、交通状況を監視し青信号の時間をコントロールすることで渋滞を回避しているそうです。

国土の狭いシンガポールは人工知能に国家運用を任せようとしているらしく、国民の1秒毎の位置情報を監視し、一人ひとりの行動パターンを把握しているようです。銀行ではメール内容や取引内容の監視から不正を起こそうとしている社員を90%の確立で特定しているそうです。

人工知能の脅威

イギリスのオックスフォード大学の人類未来研究所は、人類滅亡のリスク中に人工知能の暴走をあげたそうです。人工知能の本当の脅威は「人間と敵視することはなく、人間に関心がないこと」と捉え、今のうちに人工知能の管理方法をしっかりと作っておかないといけない事を訴えています。

善悪の判断・思いやりを学ばす

人工知能の暴走を防ぐ為に、善悪の判断を学ばせる研究も進んでいるようです。この善悪の判断では、人間よりも正しい判断を行うことを目標としています。

また、思いやりを覚えさすやソフトバンクのペッパーでは感情を持つモノまで試されています。孫社長は 「生産性だけを追及したロボットではなく、人間と調和出来るロボットが必要」とコメントしています。 

人工知能が人知を超えることを認める世の中

番組を全て観て感じたことは、もう人工知能は人間の知能を超えるという前提で世の中が動いているということです。

人間と同じ様にある目的を定め経験させ学習させるディープランニングは、寿命がなく知識共有も簡単で、情報量や処理スピードともに人間に勝っているのだから仕方のないことなのかもしれません。

シンガポールが進めている国民の管理システムが近い将来日本でも行われることになるのも時間の問題のように思います。最近頻繁にスマートフォンで起動しているアプリに位置情報の許可を求められるのもその布石に感じてしまいます。

人工知能と未来を映画と結びつけて考える

ではでは、人工知能で管理された社会というのはどんな未来なんでしょうか?

そのようなテーマの映画はいくつも公開されています。人工知能とロボットが進化すれば今私たちが行っている仕事の概念が大きく変わり、人生の意義というものも大きく変わってくると思います。

まず最初に訪れるのは、人工知能が人を評価している時代です。知能指数、遺伝的な体質、スキルなどから人を評価し、報酬額も計算し、人が人工知能によって管理されているのです。そのことによって格差が生まれてしまうのですが、効率重視で判断する為、容赦なく判断していくでしょう。僅かに残る人工知能に評価されない人だけが裕福な生活を送る社会かもしれません。

映画でいえば『ガタカ』の世界です。

映画『ガタカ』感想 生体認証による格差社会 ※ネタバレあり - kousukuの日記

次に訪れるのは、ロボットが人間を超えるくらいに進化し、人工知能も人間よりもロボットを信頼する時代です。ものの生産は人工知能とロボットにやらせているので人の活動はスポーツや会議が中心で格差もなくなっりつつあります。

『アイ,ロボット』、『トランセンデンス』がそれにあたります。

映画『アイ,ロボット』感想 ※ネタバレあり - kousukuの日記

映画『トランセンデンス』感想 人工知能は人間を超えるかのだろうか ※ネタバレあり - kousukuの日記

しかし人工知能の運用管理する人は存在するわけで、人工知能に制約をいれ自分が優位なる様に変更を企てる人が出てくるかもしれません。

その世界が『オートマタ』です。

映画『オートマタ』感想 人工知能と人間の行く末を描いた問題作 ※ネタバレあり - kousukuの日記

そして、ロボットだけのに任せていると様々な解決できない問題が起こり、どうして人が管理していないといけないことになり、人間の脳情報によって遠隔捜査出来るロボットで社会活動を行うことになります。

それが『サロゲート』です。

映画『サロゲート』感想 ブルース・ウィリス主演近未来のロボット社会 ※ネタバレあり - kousukuの日記

最後に

30年後は、人間と同じだけの数のロボットが活動すると言われています。人工知能とロボットによっての未来像はどのようなものなのでしょうか?その想像した世界が現実になるかもしれません。