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kousukuの日記

映画・音楽・スポーツの感想を綴っていきます。

映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』感想 ※ネタバレあり

映画 音楽

コーエン兄弟の2013年の作品です。コーエン作品らしいお笑いと言うより吹き出してしまうようなちょっと気の毒感のある作品です。

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 Photo by Alison Rosa (C)2012 Long Strange Trip LLC

作品情報

公開:2013年

時間:1時間44分

監督:コーエン兄弟

主なキャスト

ルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック)
ジーン・バーキー (キャリー・マリガン)
ローランド・ターナー(ジョン・グッドマン)
ジョニー・ファイヴ(ギャレット・ヘドランド)
ジム・バーキー(ジャスティン・ティンバーレイク)
バド・グロスマン(F・マーリー・エイブラハム)

 

デイヴ・ヴァン・ロンクの自伝をモデルとしている。ボブ・ディランはデイヴ・ヴァン・ロンクから影響を受けたそうです。

あらすじ

フォークシンガーの ルーウィン・デイヴィスは、ライブ演奏ではそれなりに評価されるが大きなヒットもなく人の家で寝泊まりする生活を送っていた。彼の唄は、その生活から湧き出る感情をそのままにとても暗くどんよりとしたものだった。自身のプライドと経済的苦悩の狭間でライブ、プロモート、恋…すべてにおいて上手くいかない日常が綴られる。

 

感想

1961年、ガスライトカフェでのライブシーンから物語はスタートします。そこで主人公デイヴィスが唄う曲がどこかで聴いたことのある懐かしい曲。なんだろうと頭を絞ったところ喜納 昌吉の「花」でした。唄い終わったデイヴィスは、ある男に店の外に呼び出されていていきなり殴り倒されます。

ここで、場面がデイヴィスの日常の様子に切り替わります。

フォークシンガーとしては、アルバムも出したこともあるそこそこの腕前ですが、それはアイティムという相棒がいた時の話で解散してしまった今では明るい兆しさえ見えていません。プロモートしてもなかなか評価してもらず、関係者からも期待されることもなくなんとか音楽活動をやっているという状態です。一般的には落ち目のアーティストの部類です。

そんな彼が音楽仲間の女性ジーンとの間に子供が出来てしまい今後を検討している時に口論(彼女の彼に対する暴言が余りにも強烈で笑えます。)となり、彼女の出世主義を「退屈で悲しい」とナジリます。

私たちは、いつもこの出世とプライド(アイデンティティの堅守)の狭間に生きているような気がします。特にアーティストはそこで苦しむことが多く、亡くなってから世間に評価される人も珍しくありません。プライドを捨て出世だけで生きれば創作は需要に合わせえばいいのですが、それでは創造性に欠け、表現意欲のある人には苦悩の日々を送ることになるのはずです。ルーウィン・デイヴィスは音楽に対するプライドを決して捨てません。作中に猫が登場しますが、猫が彼の生き方を象徴しているように感じます。自分の意志で行動し、人を利用して生き抜く。

またこの作品は、大笑いは出来ないのですが笑えるシーンがたくさんあります。コメディ作品として観れないこともないのですがどうも違うように思えます。

ルーウィン・デイヴィスは音楽以外の行動がどうもテキトウで、どれも裏目に出て上手くいきません。しかし、それは私たちの日常でもよくあることで、仕事などでも悩みが多い時なんかは集中力が欠け変なミスを連発したりします。まさにその気の毒なミスを描いているだけでコメディとして作っているわけではない気がします。コメディとしての作品というよりアーティストの苦悩の生活を忠実に描いたものなんだと思います。

このルーウィン・デイヴィスのモデルとなった人がデイヴ・ヴァン・ロンクで、ノーベル文学賞を受賞することとなったボブ・デュランとともにフォーク時代を築いた一人です。彼らは売れるまでの期間はこの作品に描かれているような非常に不憫な生活を送っていたのだと思います。そして、そういう生活の中から磨かれた感性で多くの人が共感するメッセージを創り出したのではないでしょうか。

観賞中は、この苦悩の状況から脱する展開を期待してしまうのですが、そこはコーエン作品らしく、相変わらずな姿が最後まで続きダメ押しでヤジった女性シンガーの旦那に殴り倒されて幕を閉じます。

サクセスストーリーではなくサクセスが眠る湿地帯を描いたような作品でした。

予告動画

youtu.be

ミュージック

 サントラ

インサイド・ルーウィン・デイヴィス

インサイド・ルーウィン・デイヴィス

  • アーティスト: サントラ,クリス・タイル,ナンシー・ブレイク,オスカー・アイザック,ボブ・ディラン,デイヴ・ヴァン・ロンク,オスカー・アイザック&マーカス・マムフォード,スターク・サンズ with パンチ・ブラザーズ,キャリー・マリガン&スターク・サンズジャスティン・ティンバーレイク,オスカー・アイザック&アダム・ドライバージャスティン・ティンバーレイク,ザ・ダウン・ヒル・ストラグラーズ with ジョン・コーエン
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2014/01/15
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

 Dave Van Ronk

Inside Dave Van Ronk

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 こちら試聴できます。

Inside Dave Van Ronk (Original Album with Bonus Tracks)

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Bob Dylan

ノーベル文学賞のボブ・デュランの代表曲

風に吹かれて

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